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生命保険てクーリングオフ出来るの?出来る場合と出来ない場合の違い
生命保険に悩む主婦
押しの強い営業マンに保険商品を勧められたという経験のある人は多いかもしれません。
「根負けして保険を申し込んだけれど、できれば契約を取り消したい」というようなときに利用できるのが「クーリングオフ制度」です。
この記事では、保険でクーリングオフを利用するためのポイントをまとめました。
生命保険をクーリングオフできる場合とは
生命保険をクーリングオフできる場合として次の3つの場合があります。
- 契約期間が1年を超えるもの
- 生命保険、損害保険など任意加入のもの
- 突然の訪問販売などで契約したもの
クーリングオフできる場合1:契約期間が1年を超えるもの
保険業法第309条には、「保険契約は保険期間が1年以下のものを除き、クーリングオフの対象になる」という旨が定められています。
つまり、保険期間が1年を超える保険契約については、クーリングオフが可能であるということになります。
クーリングオフできる場合2:生命保険、損害保険など任意加入のもの
同じ保険業法第309条では、「法令により加入を義務付けられているものを除く保険契約をクーリングオフの対象とする」としています。
一般的な生命保険や損害保険などは申込者が任意に加入する保険であるため、クーリングオフの対象となります。
クーリングオフできる場合3:突然の訪問販売などで契約したもの
保険業法施行令第45条では、クーリングオフができない保険契約として「申込者が保険契約を申し込みたいことを明らかにした上で、保険業者の営業所等で契約を結んだ場合」を挙げています。
逆に言えば、保険業者の営業マンが突然自宅を訪れて保険契約を結んだ場合などについてはクーリングオフの対象となることを示しています。
生命保険をクーリングオフできない場合とは
残念ながら生命保険をクーリングオフできない場合もあります。
次の3つの場合です。
- 契約期間が1年以内のもの
- 国民健康保険などの強制保険
- 申込者が積極的に契約を結んだもの
クーリングオフできない場合1:契約期間が1年以内のもの
先に挙げた保険業法第309条によると、契約期間が1年以内の保険契約はクーリングオフの適用対象外とされています。
イベント保険などの契約期間が短い保険に関してはクーリングオフ制度を使うことができません。
クーリングオフできない場合2:国民健康保険などの強制保険
法令により加入を義務付けられている強制保険についても、保険業法第309条でクーリングオフの対象外とされています。
強制保険とは、国民健康保険や自賠責保険などを指しており、脱退・解約をするためには所定の手続きを経る必要があります。
クーリングオフできない場合3:申込者が積極的に契約を結んだもの
クーリングオフは、訪問販売や電話勧誘販売のように、契約内容をよく確認する時間を取れないまま契約をしてしまった消費者を保護する制度です。
そのため、保険業者の窓口に予約訪問して加入を決めた場合など、申込者が積極的に結んだ契約についてはクーリングオフの対象外となります。
そもそもクーリングオフってどんな制度なの?
契約者にとって心強いクーリングオフの制度ですが、そもそもクーリングオフとはどんな制度なのか見ていきましょう。
消費者を守るための制度
「クーリングオフ」とは特定商取引法などに定められている制度で、日本では1972年に導入されました。
「業者との間に結んだ契約について冷静に考え直す期間を設けることで、消費者の保護を図る」という目的があります。
期間内なら契約を解除できる
クーリングオフ制度が利用できる契約を結んだ消費者は、契約から一定の期間内であれば「無条件かつ一方的に、申し込みの撤回または契約の解除を行ってよい」ということになっています。
クーリングオフが可能な期間は取引の形態ごとに異なり、保険の場合は「クーリングオフに関する書面を受け取った日または申込日のうち遅い方の日付から、その日を含めて8日以内」とされるのが一般的です。
生命保険のクーリングオフの具体的な申請方法
生命保険のクーリングオフの具体的な申請方法を詳しく見ていきましょう。
ここでは3つあります。
- 申請は書面で行い、書き方は自由
- ハガキに撤回希望の旨を記載する
- 保険会社宛に郵送する
申請は書面で行い、書き方は自由
前述の通り、クーリングオフを実施することができるのは「クーリングオフに関する書面を受け取った日または申込日のうち遅い方の日付から、その日を含めて8日以内」であり、手続きは書面で行います。
書面を用いることは法律で決められていますが、書き方については規定がなく、必要事項が記されていれば任意の文面で問題ありません。
ハガキに撤回希望の旨を記載する
一般的に、クーリングオフの通知はハガキか内容証明郵便で行われます。
通知に記載する事項は、
- クーリングオフしたい保険契約
- 撤回を希望する旨の文言
の2点です。
内容証明郵便は郵便局の窓口から送付する必要があり、料金もそれなりにかかるため、信頼がおける保険会社を相手にクーリングオフ通知を行う場合はハガキを用いるのが良いでしょう。
保険会社宛に郵送する
クーリングオフの通知は、保険契約の相手方である保険会社宛てに直接郵送します。
保険会社以外の販売業者(保険代理店など)へ通知を出しても、クーリングオフは有効となりません。
送り先を誤って通知を再郵送しているうちにクーリングオフの期限が過ぎてしまった、ということがないよう注意する必要があります。
生命保険のクーリングオフについて注意するべき4つのポイント
クーリングオフについての注意点は4つあります。
詳しくみていきましょう。
まずは取り消し可能か確認する
保険会社や契約方法にもよりますが、契約書に申込者がサインをした後であっても「契約成立前」とみなされて電話や口頭などで取消ができる場合があります。
たとえば、保険会社が加入審査を行っている間などがこのケースに該当します。
クーリングオフを行うには書面の準備・送付などの手間がかかります。
そのため、申し込みから間もない契約を撤回したいと思った場合、まずは販売担当者や保険会社へ口頭による取り消しが可能かどうか確認をしてみましょう。
クーリングオフによってペナルティはない?
クーリングオフを行ったからと言って、次から保険の審査が厳しくなったり保険料が高くなったりといったペナルティが発生するということは基本的にありません。
保険契約は慎重に検討を重ねてから行うに越したことはありませんが、契約後に誤解や思い違いに気付くことも想定されるためです。
ちなみに、担当者を気遣って保険のクーリングオフをためらう人もいるかもしれませんが、クーリングオフを使って撤回した契約は「不成立」という扱いになり、早期解約の場合とは異なります。
そのため、担当者に対するペナルティも発生する確率は低いと言えます。
契約撤回後の再加入は可能
クーリングオフによって保険契約を撤回した後でも、同じ保険商品に再び加入の申し込みをすることに問題はありません。
クーリングオフは消費者を保護するための制度であるため、クーリングオフを使った消費者に事業者が不利益な扱いをすることはできないとされています。
撤回書面に理由を書く必要はない
クーリングオフは、「無条件かつ一方的に、申し込みの撤回または契約の解除を行ってよいもの」です。
そのため、クーリングオフを通知する書面に撤回の理由を書く必要はなく、相手側から撤回の理由を問いただされるということも原則としてありません。
まとめ
通常の買い物などと同様に、保険に対してもクーリングオフ制度が利用できることがわかりました。保険契約について納得がいかない場合・思い返して解約したくなった場合などには早めの対応を心がけ、クーリングオフを有効活用できるようにしましょう。